高校生の息子が勉強している様子を心配そうに見守っている両親のイラスト。

保護者必見!模試の成績を見せてくれた高校生に伝える言葉

「模試の点数、良くなかったでしょ!YouTubeばっかり見てないで勉強しなさい!」
模試の成績を見せてきた子どもに、我慢できずに言ってしまった一言。「なんでこんな言い方しちゃったんだろう」と後悔したことはありませんか?
本記事では、「保護者の方が高校生の子どもにどんな言葉で伝えたらいいか?」のヒントを、我慢したり見守る方法と共に、教師・保護者・生徒への講演を延べ2,000回以上実施してきたatama+ EdTech研究所の森本所長からご紹介します。

保護者に必要なのは我慢と見守る力

心配に思うあまり、色々口を出したくなるのが親の気持ち。言いたいことはたくさんあるけれども、決して全部は言わないようにするのがポイントです。大人の私たちでも、上司から細かくあれこれ言われると気持ちのよいものではないですよね(笑)。しかも、高校生といえども、成長途上の子ども。言いたくなる一言をぐっと親が我慢する、つまり見守ることは子どもの自立心を育むことにつながります。さらに、お子さん自身が問題に取り組むことにもつながります。自分で考え、行動することを経験するのもとっても大切。結果の良し悪しに関わらず、自分で挑戦してどうだったかを考えることで精神的にも成長します。

見守る保護者の方にしてほしいサポートは「やってみてどうだった?」と問いかけて、振り返りのきっかけを作ってあげることです。子どもの行動を否定せずに親が理解しようとする姿勢を見せることは、お子さんの自己肯定感や自立心を育むことにもつながります。ただ、これもやりすぎてしまうと「詰められている」と感じてしまうかもしれません。

母親に小言を言われる女子中学生

親だって人間。我慢できずに言いたくなっちゃう...

我慢することをお伝えしましたが、忙しい日常の中で常に理性的に我慢して見守ることは難しいですよね。ここでは、つい言いたくなった気持ちをおさえるコツをご紹介します。

・まずは、「我慢、我慢」と心の中でつぶやきながら、数回深呼吸をしてみましょう。

冷静さを取り戻し、過度に感情的にならずにすみます。

・気持ちがおさまらないなと思ったら、子どもから少し距離を置いてみましょう。

一時的に子どもと物理的に距離をとってみると、自分の感情を整理する時間が生まれ、落ち着いて伝えることにつながります。

・怒りやいらだちを感じたときには、ご自身を客観視してみましょう。

なぜ怒っているのか、何に苛々しているのかを問いかけてみると、頭の中を整理できます。  

・一人でため込まないようにしましょう。

一人で考えていると保護者の方も疲れてしまうので、他の人に話してみる、相談してみるのも一つの方法です。 

母親と仲良く話す女子中学生

感謝と承認の気持ちを言葉で伝える

では、実際にどんな言葉をかけたらいいのでしょうか?ここでは、模試の結果を見せてくれた場面で「承認」をキーワードに3つのステップに分けて考えてみましょう。

ステップ1:行動の承認「見せてくれて嬉しい。ありがとう」

高校生は自立心が強くなっている時期です。まずは、どんな結果でも見せてくれた=信頼してくれていることに「感謝」を伝えてみましょう。もう一歩チャレンジするとしたら、「見せてくれて嬉しい」といった保護者の気持ちも加えてお伝えできると効果的です。模試の結果よりも、お子さんの行動を承認することで、お子さんは「見せて良かった」という安心感をおぼえるでしょう。

<伝え方の例>

  • 「模試の結果を見せてくれてありがとう。大事な進路を考えるために模試の結果って大事だよね、見せてくれて嬉しいよ。」

ステップ2:結果の承認「この科目が得意なんだね」

感謝を伝えたあとは、どんな結果でも何か良いところを伝えてみましょう。最初に否定的な内容を言ってしまうと、良くない結果を隠すことも引き起こしてしまうので、①の感謝と合わせて深刻になりすぎず、穏やかな口調で伝えてみるのがポイントです。

<伝え方の例>

  • 「(点数のいい科目があったら)数学の方が得意なんだね」
  • 「(どの科目も同じぐらい、正直褒めづらいかもと思ったときには)理系科目も文系科目も両方同じぐらいだったんだね、バランスいいね」

ステップ3:存在の承認「私は〇〇を応援したいと思っている」

行動や結果を承認した後は、お子さんの存在を承認しましょう。お子さんに行動を強制するのではなく、どんな時も応援していることを伝えてみる。このとき、主語を私にする「アイメッセージ」で伝えることもポイントです。

<伝え方の例>

  • 「私は〇〇が勉強や部活を頑張れるように応援したいし、将来のことで力になりたいと思っているよ。何か困っていることある?」
  • 「世界で一番、〇〇のことを応援しているよ。何か困っていることある?」

大切なのは、結果よりも、お子さんの今の行動や存在を認めることです。お子さんに伝えるとなると少し難しく感じてしまいますが、毎日の夕飯づくりを例にすると想像しやすいかもしれません。料理は苦手だけど家族のために頑張って作っている夕ご飯。子どもから「まだ夕飯できていないの?」「品数少なくない?」と言われたら、苛立ちを覚えますよね。一方で、「新しい料理だね」「作ってくれてありがとう」と認めてもらえたら嬉しいでしょう。お子さんとの会話も同じです。日常の中で感謝やエールを伝えるのは照れくさいかもしれないですが、保護者の方も少し勇気を出してお子さんに感謝を伝えてみると、お子さんも「話してみようかな」と思ってくれるかもしれません。

保護者も子どもも高校生は初めての体験。完璧じゃなくて大丈夫。

今回は、我慢して見守ることや高校生のお子さんへの伝え方をご紹介しました。子育てって本当に難しいですよね。大切に思う気持ちがあるからこそ、「完璧にしなくては」と思っちゃう。これまでに有識者の方や先生方からお聞きした経験をもとに、高校生のお子さんとの接し方についてご紹介しましたが、私自身もこの内容を完璧にできているわけではありません(笑)。むしろ、毎日「これでいいのかなあ」と悩みながら子どもと接しています。この記事が、「高校生のお子さんとの接し方に、こんな方法もあるんだな」と少しでも参考になれば幸いです。

監修
森本典生のスナップ画像
atama+ EdTech研究所 所長
森本 典生(もりもと のりお)
東北大学経済学部経営学科卒業後、株式会社ベネッセコーポレーションに入社。
教師、講師、生徒、保護者への研修や講演は延べ2000回以上。科学的な「伸びる」学習方法やEd Techの価値について研究全般を統括。

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